死亡者数を増やさない

問題は”医療崩壊”。病院が満杯になると死亡が急増する。他の病気や、がん診療が出来ない病院も増える。

今年は他の呼吸器感染死亡が少ない、コロナでもそれほど死んでないと言う人がいる。しかし、問題はそこにはない。

1,2,3波の違い

第1波

  • PCR検査数が少ない
    • 保健所が全てを担うため崩壊状態
    • 陽性率が高いため、偽陰性が多かった
    • 検査を受けるために他府県に移動
    • 検査を受けていない人が路上で死亡
  • 症状が分かっていなかった
    • 治療法が分からない
    • 軽傷者の急な重症化で自宅で死亡
    • 血栓症で急死例があることが判明
    • 重症になってから受診する患者が多かった
    • 病院内でさらに重症化して、ECMOになる人が多かった
  • 行政対策を行ったが、一般では対策は不明
    • 対策が分かっていなかった
    • 学校閉鎖、休業要請を先ず行った
    • 接触感染と飛沫感染がどれほどのものか不明
    • マスクが有効かどうか不明

第2波

  • PCR検査が増えてきた
    • 医師会など検査所を設け始めた
    • 症状が分かってきたので、発熱がなくても発見出来るようになってきた
    • クラスター解析のための無症状者にPCR検査を行い隔離した
  • 症状が分かってきた
    • サイトカインストーム、血管炎など症状が分かってきた
    • 治療法が分かってきた
    • 早期からステロイドなどの治療が行われてきた
    • 重症化率が低くなってきた(第1波よりECMOが少ない)
  • 行政対策はなかったが、社会ぐるみで対策が始まった
    • GoToトラベルが始まった
    • ソーシャルディスタンスやマスクなどの対策が明らかになった
    • 夏休みで学校は閉鎖されていた
    • 行政がアラートを出す基準を作った
https://crisis.ecmonet.jp

第3波

  • PCR検査体制が整ってきた
    • 保健所の仕事がやや整理された
  • コロナ感染の解析が進んだ
    • 重症化率が低くなった
  • 治療法が分かってきた
    • 軽傷の状態から治療始める人が多くなったために重症例が少なくなった。
  • 行政が対策しない
    • 行政は経済優先で対策が後手になる
    • 感染者数は第2波を越えて多くなった
    • 重症者数は第1波を越えた

重症者数/病床数

重症者が重症者病床を越えると、急激に死亡者数が増えることが予測される。第1波の時には議論されたが、第2波で重症化率が少ないと判断されたこと、夏休みに大した対策なしに収まってしまったことで、重症化病床の拡充はそれほどなされていないと考えられる。

重症患者数は、2,3週間後に上昇するため、現状では3割の病床稼働率であっても、今後逼迫の可能性がかなり高く、すでに重症者を率先して受け入れる専門病院の重症者病棟は埋まってきている。

第3波の重症者数

重症者の現状

  • 重症者のピークは、感染者数のピークより2、3週間遅れている。
  • 第3波の重症化率はすでに第2波より高く、現在がピークであっても400名近くになると推測される。
第1波第2波第3波
感染者のピーク4/11 新規7208/10 新規1500
患者数 13,724
11/20 新規2600
患者数 15,627
重症者のピーク19日後 
4/30  328
13日後
8/23  259
2週間後は313以上
11/21 313

第2なみより重症化率が高い要因

重症化しやすい50代以上が、第2波の2倍になっているためと考えられる。

コロナ感染による影響

オランダではがん発見率が4割低下している報告がある

IS A DELAYED CANCER DIAGNOSIS A CONSEQUENCE OF COVID-19?

コロナ感染で検診受診が減り、早期がんの発見が遅れていると考えられる。

救急医療への影響も出ている

東京都内で、受入紹介を5回以上、もしは搬送まで20分以上かかった件数のグラフ

結論

すなわち、現状のままでは重症者数は増加し、医療の逼迫を引き起こすと考えざるを得ない。全国の新規感染者数は、毎週1.4倍になっており、3週間では2.4倍の指数関数的増加フェーズにあると考えられる。このまま感染が増加するとクリスマスには1日の新規感染者数は、1万2千人となり、重症者は病院からあふれ、日常の診療は不可能となり、コロナ感染とそれ以外の死亡率は急増すると考えられる。

一方で、市中感染が増加すると医療機関での院内クラスターが増加し、病院閉鎖が各地で起こり、特に地域での通常診療の逼迫が問題となることが予測される。それが恒常化した場合には、人口あたりの医療者数が海外より少ないため、日本の医療は崩壊する。がん診療の遅れから来るがん死亡率の上昇、循環器系疾患での死亡数も増えると考えられる。

市民の行動変容、行政的対策がクリスマスまでに行われれば、このようなことは避けられるかも知れないが、すでにかなり逼迫した状況が1ヶ月以内に起こるような状況となっていると考える。

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