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カルボの臨床試験の説明 トリプルネガティブ乳がん

カルボの試験を図で説明

2020年9月27日

カルボプラチンのトリプルネガティブ乳がんに対する再発抑制効果を見るための臨床試験です。

↑ のような設計になっています。経緯について順に説明していきます。

↑ TNTトライアル(英国、Prof Tutt)

カルボプラチンのトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の試験がいくつかあります。上記に一つの試験の内容と結果を示します。

まずは、転移性TNBCの試験です。ドセタキセルは、タキサン系薬剤の1つです。術前術後の補助療法として再発抑制効果が認められ、初発、再発で標準治療薬となっています。

再発の最初(ファーストライン)の治療として、そのドセタキセルとカルボプラチンの効果を比較する臨床試験が行われました。それぞれ単剤で、片一方が終わったらもう片一方で治療するという治療法です。右の図で見るとドセタキセルの方が少し良さそうです。

右の図の見方

病気が悪化せずに生存している率を表しています。カルボプラチンの方が少し3か月ぐらいで悪化する人が多かったようですが、5ヶ月以降はあまり変わっていないので、統計学的にはそれほど大きな差ではなかったようです。

↑ 結果その2

腫瘍が縮小した人の割合はカルボプラチンとぞせたきせるで、それぞれ31%と34%でそれほど変わりませんでした。しかし、腫瘍のBRCA遺伝子の変異があるかどうかで分けたところ、変異がある場合にはカルボプラチンで腫瘍が小さくなった人が多そうです。しかし、患者さんの数が少ないので、統計学的に明らかにカルボプラチンが良かったとはいえませんでした。

↑ Geparsixto ドイツの試験、ミンクビッツ先生。

少し日本と薬は違うけれど、アントラサイクリンとタキサン、アバスチンの術前化学療法の臨床試験。ER陰性乳癌、HER2は陽性と陰性。陽性にはハーセプチンが投与されました。PM群はカルボプラチンなし、PMCb群はカルボプラチン追加です。

TNBCとHER2陽性の両方が入った比較では、すこしCb追加群でがんの消失した人の率が高いですが、統計学的には差はありませんでした。しかし、TNBCのみでは、PM群に比較して、PMCb群はがんの消失率は36.9%から56.3%に増加していました。

癌の再発率を見た結果です。100%再発がなかったのに徐々に再発が出てき始めて、右側に行くほど低下してきています。赤がカルボプラチン追加群ですが、85.8%が再発していません。カルボプラチン追加なしでは76.1%。23.9%が再発しています。(正確には再発亡く生存している率で比較しています。統計学的に明らかに再発率の低下が認められています。)

↑ 米国のCALGBの試験

パクリタキセル+ACは日本でも標準治療です。追加なし、アバスチン追加、カルボプラチン追加、両方追加の4群に分けています。上2つは、カルボプラチンなし、下2つはカルボプラチンありです。その2つに分けた結果、右図のようにカルボプラチンの追加で、がんの消失率が上昇しています。

しかし、残念なことに、(右)再発なしの率、(左)生存率ともにカルボプラチンの有る無しでは差はありませんでした。

3つの試験の結果からは、カルボプラチンはTNBCに効果のあることが分かります。しかし、最後の試験の結果からは、再発を抑える効果があるのかどうかは不明です。そのため、2016年のサンアントニオでは、カルボプラチンで再発を抑えるかどうかは不明で、ガイドラインでは勧められていないとなっています。今もなお、この状況は続いています。

TNBCは再発が多くて、悪いタイプの乳がんだと言われますが、実際は術前化学療法でがんが消失する率は、HER2陽性、ER陰性のタイプの次に高いです。しかし、残念なことに術前化学療法で、消失しなかった場合には再発が多いことが分かっています。上の図では再発しなかった人の率が初めは100%で徐々に減ってきています。赤いラインは手術の時にがんが完全に消失した人、青いラインはがんが残っていた人です。3年で半数くらいの人が再発します。

↑ これは、北里大学、昭和大学、既ま元大学の共同研究のデータです。

術前化学療法でがんが消失しなかった人の腫瘍内のBRCAの壊れているかどうかをみる検査を行いました。BRCAが壊れているとDNAの修復が出来ません。人BRCAが壊れていると8割の人が再発していますが、BRCAが正常だと再発は3、4割です。数は少ないもののBRCAが壊れていると再発が多いことが分かります。しかし、BRCAが壊れているとカルボプラチンが効きやすいのは、3番目の【反応率】の図でもそうでした。

これらのことから、術前化学療法で腫瘍が消失しなくて、BRCAが壊れている人にカルボプラチンを投与すると再発が抑えられて救命出来るのではないかと考えて、この試験を企画しました。

腫瘍が消失しなかった人を2群に分けて、現在の標準である経過観察とカルボプラチンの投与の再発率を比較します。一方で、BRCAの検査を行うことで、BRCAが壊れている人と、いない人で、カルボプラチンの効果が違うかどうかを見ることが出来ます。

この結果でカルボプラチンが有効と判断出来れば、毎年1000人程度が救命出来ると考えています。

カルボプラチンはジェネリックで1回の薬代は2万円かかりません。4回投与しますが、8万円はしません。1000人救命するためには6000人の投与が必要と考えていますが、それでも4.8億円。BRCAの検査でもっと減らせれば、もっと少ない人の投与で、救命が可能となります。最近発売されている薬剤では、1000人救命するのに数千億円必要と資産さているのを見たことがあります。1000分の1の国家予算で、救命出来る人が年間1000人。みなさんの寄附を頂いて、この試験が完遂出来ることを願っています。

READYFORのクラウドファンディングの開始は10月12日を予定しています。みなさまよろしくお願いいたします。

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